裏編みのカーディガン(その1)

久しぶりに行った鎌倉のMargeで買った毛糸です。素敵な色ですが100g×3玉で長さがわかりません。カシミヤ30%で軽いし、太さも中細ぐらいと細めなので結構長いのかもしれません。しかし安全をみて編み地を複雑にしないことにします。さりとてメリヤス編みでは単調になってしまいます。
そこで下の写真のHargreavesさんデザインのカーディガンを参考にすることにしました。以前に編んだ「裏で編むプルオーバー」と同じ編み地です。今回はカーディガンなので片側だけで編むことはできません。この編み地ならメリヤス編みと糸の量がさほど違わないはずです。これをトップダウンでフィニッシュフリーに編んでみます。フィニッシュフリーとは、最後にとじ、はぎ、拾い目など無しで、編み終わりが即完成になることです。この場合だと、襟の縁を本体と一緒に編んでしまうということです。トップダウンで編むので最後に糸の残り量を見ながら胴体と袖の長さのバランスを取りたいと思います。
襟ぐりの縁も一緒に編んでしまうやり方には二通りあります。下図の左のように、うしろ襟ぐりのガーター編みを先に編んでそれを作り目にして、そこから1パネルで肩線を作りながら編んでいく方法。また右図のようにガーター編みの幅も含めて肩線をマジックキャストオンして、前後身頃の2パネルを編んでいく方法。編みやすさからは「左」ですが、これだとうしろ襟ぐりが下げれません。今回のように前襟ぐりが大きなV字型に開いているようなカーディガンなら、うしろ襟ぐりが下げれなくても、ゆったり着るので問題ありません。なので普通なら「左」で編むところですが、敢えて「右」に挑戦してみます。通常の編み図を読みといて、それをトップダウンで編むという場合を想定するとこの方が向いているからです。
さて編み方ですが、マジックキャストオンで肩線を作ったら、前後左右身頃の4パネルに分けて編んでいきます。この時ガーター編みも一緒に編みます。後ろ襟ぐりの深さ(今回は3.5cmにしました)に達したら、作り目をして左右のうしろ身頃をつなぎますが、この時作り目にガーター編みもくっつけて編みます。ここが今回のポイントです。次に肩からの袖ぐり深さが拾い目の長さ(今回は4cmにしました)に達したら、袖の目を拾って前後身頃をつなげます。
編み地は3目の裏メリヤス編みに1目の表編み(筋模様)としますが、この表編みは1段毎にすべり目にして大きな目にします。
さて先ずは襟袖周りの寸法を決めます。寸法の基本は「クルーネックのセーター」と同じにします。ただしカーディガンなのでうしろ襟ぐりを少し長く(15cmを18cmに)しました。針は5号でゲージは22目/10cmとして目数を決めます。図中の丸の中の数字は目数です。
編み地に模様がなければこれで編み始められるのですが、今回は筋模様を入れるので、袖の拾い目をする12段まで襟ぐりの増し目と筋模様の関係を下図のようにはっきりさせておくと間違えずに編めます。作り目はガーター編み5目+肩線19目+袖の拾い目用1目=25目とします。左右の後ろ身頃をつなぐ作り目は、筋模様の関係で31目となり、うしろ襟ぐり合計で40目ではなく39目になります。筋の目は奇数段(表面)ですべらせます。またガーター編みの端の目もきれいに揃うように、段の編み始めの時にはすべり目にします。今回の場合だと、糸を向こう側に置いて、端の目に表目を編むように右針を差し込んで左針から目を抜き、糸を手前に持ってきて次の目から裏目で編む、とします。
編む手順は
①マジックループを2セット作る
②4パネルで編んでいく(下図上)
③11段目で左右のうしろ身頃を、作り目31目でつなぎBの糸を切る(下図中)
④12段目で戻る(下図中)
⑤13段目で袖の目を拾うが、スタート位置を左前身頃の襟側まで戻して、Dの糸で袖の目を拾って編み進み前後身頃をつなぎAとCの糸を切る(下図下)

袖の拾い目の数は、4×2.2×2=18目ですが、センターに筋の目を入れたいので、片袖あたり8+8+1=17目と奇数にします。下図逆三角が拾い目です。端の目が丸になっていますが、これは拾い目でなく身頃の一番端の目をそのまま使います。なので実際に拾うのは15目です。14段以降は増し目を入れていきます。増し目の入れ方は「クルーネックのセーター」と同じに各段増し目を4段、そのあとは2段毎増し目を16段、とします。つまり45段まで増し目を入れることになります。
ここまで準備したら編み始めます。写真は4段目まで編んだところです。
11段目でうしろ襟ぐりの作り目をします。下の写真はその状態です。作り目とガーター編みをセットで編んでいきます。
やり方を図で描くと下図のようになります。左は1目をマスで表したもので、斜線部は裏側から編む部分です。右は記号で示したものです。両針を使っていて空いていないので、作り目をする時はかぎ針を使います。
なかなか表現しずらいので、この作り目の編み方を動画にしました。
作り目の最後は、そのまま右後ろ身頃に編み進んでつなげてしまいますが、ガーター部もかぎ針を使って引き抜き編みでつなぎます。この時中表に合わせるのでなく中裏に合わせます。その方が縫い目が表に出るのでガーター編みのつなぎが目立ちにくくなるからです。
11段が編み終わり後ろ身頃がつながる
12段まで編み終わり
針をずらしてスタート位置を変更
13段目で袖の拾い目完了
袖の目の編み始めの頃は、針がきつくなるので、四隅(下図)またはニ隅からループを出すと編みやすくなります。24段ぐらい編むとループを出さずに編めるようになります。
24段まで編んだところです。
46段まで編んだところです。
ここで袖周の目数と長さ、肩からの長さを図ります。袖周55目27cm、肩から46段14.5cmでした。脇の下で袖周が30cmを超えるように、また肩から脇の下までの長さは20cmを超えるように設計します。脇の下の袖ぐりカーブは「クルーネックのセーター」と同じ増し目にします。これらを考慮して下図のように55段目からカーブをつけて(増し目を入れて)65段まで編むことにします。袖周は33cm、肩からの長さは20cmとなります。66段目で袖の目を休めて前後身頃を11目の作り目でつなぎます。計算上は12目なんですが11目にすると筋模様がうまくあうからです。
袖の目を休めて前後身頃をつないで、67段まで編んだところです。
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