トップダウンの増し目

ボトムアップ編みは、大きく作り目(裾周り)をして減らし目で形を作っていきます。前後身頃を分けて平面で編む場合でも、輪編みする場合でも同じことです。一方トップダウン編みは、少ない作り目から増し目で形を作っていきます。だから編みながら寸法を決めていくことができるわけです。今編んでいるコットンニットティーなどは、たった6目の作り目から編み始めています。トップダウン編みは増し目編みと言っても過言ではありません。
編み物の教科書には、増し目は細い糸や滑りやすい糸では「ねじり増し目」が向いている、と書かれています。私の見た限りでは、海外で増し目といえばまずその「ねじり増し目」です。これは、目と目の間を渡っている糸を拾ってねじって編むやり方です。
ただし、私が思うに、トップダウン編みの最初の頃は各段で同じような位置に増し目を入れていくので、渡りの糸を拾うのはきつくてやりにくい感じがします。そこで私は、KFB(裏編みではPFB)をよく使います。日本語訳がないので英語のままにしていますが、ニットフロントバック(パールフロントバック)と読みます。これは、渡りの糸を拾わずに、1つの目から2つの目を編み出すやり方です。この方が、きつくないのでやりやすいのです。
KFBは、編み方自体は編みやすいのですが、新目は必ず左側にできます。このため下図のように、マーカーの左側に増し目を入れたい場合にはKFBを編んだ後でマーカーを入れ替えないといけません。頻度が高いとこれが結構面倒です。
そこで、新目を右側に作る編み方はないかとネット上を探してみましたが、見つかりません。止むを得ず自分で考えました。表編み時の編み方をKBF、裏編み時の編み方をPBF、と勝手に名ずけて以下にその動画を載せます。KFB、PFBも載せますので比べて下さい。

まずは通常のKFBです。

普通の表編み(フロントループ)をしたら、左針から目を落とさずに裏から(バックループ)右針を入れて糸を掛けます。

そして、KBFです。

裏編みをするように右針を入れてねじってから左針を入れて表編みします。さらに左針から目を落とさずにその目を表編みします。

次に通常のPFBです。

普通の裏編み(フロントループ)したら、左針から目を落とさずに裏から(バックループ)右針を入れて糸を掛けます。

そして、PBFです。

表編みをするように右針を入れてねじってから左針を入れて裏編みします。さらに左針から目を落とさずにその目を裏編みします。
動画でもお分かりのように、太い糸だったからかもしれませんが、KBFもPBFもどちらも、ねじった目に左針を入れるのがやりにくいです。せっかく考えましたが、むしろマーカーを移動させた方が簡単かもしれません。糸によって、編みやすければこの編み方を使いたいと思います。
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